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日記

昨日5/9に永六輔氏がラジオ番組を降板したことが報道された。わたしが『「テレビリアリティ」の時代』という本を書いた時、テレビが始まるころから現代までコメントをしつづけているのは小林信彦氏と永氏ぐらいで、このひとたちの著作を目を皿のようにして読み続けた。本の内容は図式化すれば、アドリブ(生放送)を重視する萩本欽一と、よく構成されたネタを重視していた永六輔の対立を描いたものである。自然と永氏のことを敵役のように描いた。お笑いタレントが大手を振る現代のテレビは萩本欽一なくしてはありえない。だが、実は本では最後の最後に、テレビというものはインターネット登場後、若者が熱中するようなサブカルチャー的な役割を奪われるから、永氏が研究し構築しようとした、普遍的な内容が求められるだろうとまとめている。「上を向いて歩こう」の歌詞。時代と寝たというよりは、いつの時代とも寄り添うような歌詞。一九五〇年代から六〇年代にかけて、日本のテレビ黄金時代においては、そのような普遍的なものが追い求められていた。まだ、テレビ局のプロデューサーが構成作家たちに「あなたには日本のオスカー・ハマースタイン二世になってほしい」と口説き、世界の一流文化と伍すべく、無我夢中になっていた時代だった。

 

著書を書き終えたのち、永氏には敬意を払うべく、献本をした。献本の宛先がわからなかったので当時十年以上続いていたレギュラー番組「土曜ワイドTOKYO 永六輔その新世界」を放送していたTBSラジオに送ってもらった。

 

永氏からは返信の葉書を頂いた。リスナーの誰にも返信を書くことで有名で、老体に鞭打たんとする永氏を外山惠理さんが止めていたこともよく知られていた。だから、返信があっても不思議ないことではあったし、日本中(世界中?)で永氏の葉書をもらったひとは大勢いることだろう。

 

わたしもその一人だ。そして、この葉書はわたしの数少ない宝物である。